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勝負ジュエリー【ジョージ ジェンセン】

先日、ある若手女優にインタビューしたとき、「勝負服」の話になった(いちおう断っておくが、競馬の騎手がレース時に着用する派手な色柄の服のことではない)。彼女にとってのそれは、世界的に注目されている気鋭デザイナーのブラックドレスだった。ラッフルを多用したロマンティックなデザインなのだが、同時に鎧のような迫力も感じる一着で、女優として勢いのある彼女らしいチョイスだと思った。

インタビュー後、ふと自分にとっての勝負服って何だろう? と考えた。まだ港区で会社勤めしていた20代の頃は、仕事以外にもデートや飲み会、夜遊びと気合いを入れなくてはならない日が多かったし、その分勝負服のレパートリーもたくさんあった。それなりにきらびやかな生活を送っていた私だが、今はしがない在宅勤務のフリーライターである。

家で原稿を書くにはユニクロのスウェットで十分だし、仕事の合間に近所を散歩するにしても、わざわざ着替える必要はない。たまに夫と出かけることになっても、着ていく服が決まらなくて焦ることなど決してない。さらに、コロナ禍で取材も打合わせももっぱらオンラインになってからは、画面に映る範囲さえきちんと見えていればよくなった。気がつけばこの10年の間に、すっかり勝負服のいらない人間になってしまったようだ。


20代の賑々しい生活が懐かしいが、あの頃に戻りたいとは思わない。恋敵も、出世を争うライバルも今はいない。いるのは毎日エアキックしながら見えない敵と戦う息子だけである。ハリーウィンストン ボス恋 コピー人と比べなくてもいい生き方は、まさにスウェットのようにストレスフリーで心地よい。けれどその一方で、フリーランスは孤独や不安と隣り合わせでもある。それでもしっかり前を向くためには、自分を信じて己を磨き続けるしかない。ジュエリーに投資することが増えてきたのは、奇しくもそのようにライフスタイルや意識が変わってきた30代を過ぎてからだった。

好きなジュエリーブランドをあげればきりがないが、ジョージ ジェンセンには特別な思い入れがある。長男が生まれた年に、出産の労いと仕事復帰する喝入れの意味を込めて購入したのが、同ブランドのシルバーネックレスだった。ジャクリーヌ・ラバンによる「オフスプリング」コレクションのもので、テーマは生命の誕生。母になりたての私は、迷わず買うしかないと思った。

大小の輪っかの連なりは親子の絆を表現しており、どこかDNAの二重らせん構造を思わせる。歪みの効いたモチーフが生み出す、有機的で神秘的なフォルム。そこにメゾンならではのミニマルさが加味され、モダンでしっとりとした雰囲気に仕上がっている。身につけると顔まわりが華やぐというよりも格上げされる印象で、知的な引き締め役になってくれる。

私はこのネックレスを「勝負ジュエリー」と呼んでいる。購入した日に「働きながら母になる」と決意した自分自身を鼓舞するためにそう命名した。だからおもに仕事をするときに着用している。〆切り間近で家にこもって全集中しなければならい日などに、わざわざユニクロのスウェットに合わせたりしている。ウィメンズ シルバージュエリーネックレスの身になれば、もっとよそ行きのときにつけて欲しいんじゃないかと憶測し、すみませんという気持ちになることもある。それでも、そんなの知ったことかと言わんばかりの涼しい表情できらめくこのネックレスを見ると、自分の選択を軽やかに後押ししてくれているように思えるのだ。

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